2014年10月30日木曜日

ただ、貴重な体験だった。


道中、雪景色だったな。

初めて仕事をする方を含め
昨日は旭川へ行った。

遠くの山も真っ白。
水墨画みたいになってた。

そんで、
ラーメン。

昼になってね
メシでも食べましょかとなって。
オススメの
ラーメン屋があるんですと。
じゃあいきましょうと。

よくあることです。
ここまではね。


そっからだ。

店に着くまでの5〜6分。
これから食べるラーメンの
説明をされるという、
意外としたことのない体験をした。

旭川のラーメン屋は
ほとんど網羅したけど
あの一品は食べたことがない。

いかにうまいかと。
熱弁は止まらない。
そう、彼は熱いのだ。

大丈夫なのか。
ラーメンだぞ。
ハードルの高さが
えらいことになっている。

これから食べるラーメンを
猛烈に語るその熱量も高まる。

最高!
感動する。
日に3回食べたことがある。
ぜひ、味わってほしい。

できれば、もういい。
ぼくには、自信がない。

なんだろうか。
そわそわと
居心地がわるい。

意地悪で言うのではなく
そんなラーメンを
食べたことがないし
それほど語る人を
今まで見たことがなかった。

もう結果から言おう。

ふつうだった。

いや、おいしかったよ。
でも、食べているときずっと
ひとつの思いが消えない。

「言うほどじゃ……」。


あの大熱弁さえなければ。

小上がり席で
おそろいのラーメンを
ひたすらすする4人の男たち。

沈黙のなか
プレゼンした本人が
賞賛の声をもらしている。

彼は、わるくない。
たぶん。
ただ、頭がわるいのだ。
いや、ピュアなんだろう。
経験が浅いという側面もある。
責めてはいけない。

今まで二十数年の人生で
食べたことのない味だ。

彼が語っていたなかでの
ひと言を思い出した。

ぼくは、四十年の人生で
食べたことがある味だったけど、
そうか。何も間違ってはいない。

おじさんたちに
おいしいラーメンを食べさせたい。
よろこんでほしい。
そのもてなしの気持ちをくみとりたい。

そう、彼は熱いのだ。
このラーメンよりも。

ラーメンは、多様である。
同じく人もさまざまである。

慎重に振り返ってみたけれど
あの一連の流れを
うまく説明できていない
もどかしさを感じている。

やれやれと
彼の拙さを語ることもできるし
悪人の存在しない
落語のように伝えることもできる。

ひとつの事実を
どうとらえるのかは、自分である。

ただ、貴重な体験だった。

映像化してみたい。
たぶん、
コントだなあ。







2 件のコメント:

  1. すごぉ〜く可笑しかったです(笑)
    自分も昔はよくそんなことしちゃったなぁ、
    今もやってるかもしれないなぁ…。
    で、「なんでお前にはこの良さがわからないんだ!」と逆切れしたりして。
    ユーモアを持って見たらホント、落語になるくらい滑稽ですよねぇ。

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    1. おかしく読んでくれてうれしいです。
      文章で伝えにくい体験だったので、気をつけながらまとめましたもの。
      なんせ、まっすぐな情熱でしたから 笑

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