2014年6月17日火曜日

ミートソース回想。


お昼には遅く
夕飯には早い。

そんな
ちゅうぶらりんな時間まで
食事をしていなかった。

君はお腹が減ってないけど
アイスとかパフェなら食べるという。
ぼくは、かるくお腹を満たしたい。

びっくりするくらい
ぼくらの希望を叶えてくれる
そんな店がちょうど近くにあった。


君は
やたらハッピーそうな名の
パフェを選んでいた。
そうくると思った。


ぼくは迷わず
ミートソースのスパゲティを注文した。

ハンバーグが乗ったやつもあるけど
ここはひとつ、シンプルにしたい。


普通においしい。
この言い方は好きではない。

しかし、
この一品は
普通でおいしい。
子どものころ食べていた
ミートソースを思い出す。

そうだね。思い出したよ。

ミートソースとナポリタンの2種類。
子どものころは、その2種類が
スパゲティなんだと思っていた。
もちろん
パスタなんて名称は知らない。
むしろ
スパゲッティー!と言っていた。

今日、なに食べたい?
母が子どもたちに訪ねる。

スパゲッティー!!
子どもたちは力強く答える。
スパゲッティー!!
そう言葉にすると
根拠もなく、うれしいのだ。

ミートソースとナポリタンどっち?
母が子どもたちに確認をする。

子どもたちは迷う。
真剣に迷う。
選ぼうとしているのが
ミートソースなのか
ナポリタンなのか
わからなくもなりつつ。
人生の重大な選択かのように
真剣に迷ったものだ。


バカだなあ。

もうすぐ母の三回忌だなあ。
あれ?二回忌だった?
おや、二回忌って言いにくい。


目の前のバカが
大きめの声を出した。

 お父さん!
 ハンバーグ食べないの?!
 なんで? スパゲッティー?!


一瞬だけ
考えごとをしていたようだ。


 ここは
 これがうまいんだ。
 7回に3回は
 これを食べるくらいさ。


そんな適当なことを言って
煙に巻いてやったタイミングで
先に来たのは
やたらハッピーそうな名の
パフェだった。


ふむふむ。
興奮しているのが
まるわかりじゃないか。


君がびっくりするのを
見るのが好きだ。


スプーンにとった
白玉を得意げに
自慢しているよ。

やっぱり
バカだなあ。



駅までの商店街を
マンホールを見つけながら
ちんたら歩いて帰った。
マンホールの数の多さに
ぼくらけっこう驚いた。

その日も夜は雨が降った。



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