2014年3月15日土曜日

まさかの。


函館は優しかったなあ。
冬の終わりの春の前。
ダイヤモンドダストを見た。
写真を撮るの忘れちゃった。
あんまりキレイでね。
君に見せたかったなあ。

新しい季節が
間もなくやってくる。
確実にやってくるんだ。

だけども
ぼくにはちっとも新しさがない。
新しさを欲しているのかも
実のところわからない。
もしかしたら
ハートがくすんでいるのかもしれない。
ちゃんと磨かなきゃなあ。

昨日は
チョコのお返しの日だった。
つまりは、
全世界をだな、
巡らなければいけないのだ。
毎年の恒例。
マジ、大忙し。マジ。


電車通りからチェコまで
頼もしいガチョウに運んでもらい
プエルトリコのフェリー乗り場から
マサチューセッツに寄って
アンドロメダ星雲を馬車に揺られて
ギャングに追いかけられているぼくを
トスカーナの丘のふもとにある教会に
かくまってくれた娘さんに
お礼のべこ餅をあげたので
用意していたプレゼントが
ひとつ足りなくなってしまい
帰り道のスカンジナビア山脈から
フィヨルドを見下ろし
モナリザがつくってくれた
カニシュウマイを食べた後、
全世界の
朝一番に咲いた花を摘んだ。

それを真木よう子に
あげようと思ったんだ。

そしたら
銀色の年老いたキツネが出てきて
「それは私の子どもの薬になる花
 だから置いてゆくのだ、人間よ」
と戒められたついでに
ここでは書かないけど
ぼくに関する2〜3の
強烈なダメ出しをされたので、
即、言う通りにした。

写メを撮れば良かったと
くよくよしながら
酒瓶でつくった
ソリで下山していたら

真木よう子が納得してくれる
説明をどうしたらいいか
集中して考えていたので
地球の割れ目に落ちてしまい、
夜空の絨毯の裏側に当たって
ピンボールみたいに
はじけ飛んだ。

というところで目が覚めて
いつもの事務所の
イスの背もたれに
だらしなく寄りかかり
うっすらと
寝汗すらかいていた。

つまりは、
一歩も外に出てやしない
一日だったのだ。

のどが渇いていたけど
コンビニで買った
クランキーチョコを食べた。

締切が迫っていた。



賢明な読者諸君なら
もうおわかりだろう。

私はさりげなく
夢オチをやてみたくなったのだ。
まさかの
夢オチを。
誰も得しない
夢オチを。
壮大に広げっぱなして
卑怯に尻すぼみする
あの
夢オチを!

まさかだ。
こんなに平熱で
やり遂げるなんて。

批判も賞賛も受けない。
私は、
やりたいことをやるのだ!

新しい季節を迎えるにあたり
どんどんと
顔色変えずに
ちっとも新しくない
夢オチをやっていこうと
こここに宣言したい。

なにが事実で
なにが虚構なのか。
そんな分別に
ケリをつけたのだ。


─ Dream Drop Stories 全集 
 作者あとがきより・抜粋 ─


徹夜した挙げ句に
こんな暇つぶしして
ストレスなのでしょうか。

実に、嘆かわしい。

君が笑ってくれれば
だいたい浮かばれるはずさ。
苦笑いでもいいんだ。







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